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中津でジャワ・ガムラン [音楽のこと]

今日もジャワ・ガムラン。と言っても、いつもの阪大でのお稽古ではなくて・・・。
大阪市北区中津にあるアジア創作料理 マルコノスタルジでのジャワ影絵芝居ガムラン演奏を拝見・拝聴に伺います。


ご出演されるのが、インドネシア・ジョグジャカルタのダラン(影絵使い)であるAnanto Wicaksono(アナント・ウィチャクソノ)さんと、女性3名で構成される変幻自在なガムラン・ユニットTidak apa apa
Tidak apa apaのメンバー・・・西田有里さん、松田仁美さん、近藤チャコさんのうち、松田さんと近藤さんはDarma Budaya(ダルマ・ブダヤ)のメンバーでもあって、月に一度催される「日曜ガムラン」にワタシも参加させて頂く度に優しくご指導頂いている。
Tidak apa apaと幼少より影絵人形遣いとしてのキャリアを持つナナンことアナントさんは昨年11月の「ワンコイン市民コンサートシリーズ第59回『ジャワ芸能の魅力 ジャワ曼荼羅』」(→記事参照)にもご出演されて、Darma Budayaとともにジャワ・ガムランを披露してくださった。幽玄なインド古代叙事詩を基にした影絵芝居で楽しませて頂いた。その時は総勢11名であったが、今日は4名でのライヴ・パフォーマンス。どんなガムランが披露されるのか、どうトランスクリプションされるのかが聴きどころ。影絵芝居がどうアレンジメントされるのかが観どころ。

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会場となるマルコノスタルジは、大阪市北区中津、国道176号線の高架下。位置が少々分かりづらいが、大阪市内は「オレの庭」、開場時間の15分ほど前にはその店の前に辿り着く。
昼と夜、2公演が予定されていて、ワタシが予約したのは13:00開場、13:30開演の昼公演。
小さなカフェ・バーをライヴ会場にするために、テーブルやイス、ソファが高架下に搬出されている。そのソファに腰掛けて開場の時間を待つが、開け放たれたドアから青銅製打楽器の音と美しい歌声が溢れ出て、オーヴァーパスの橋脚に反響してちょっと面白い響きを醸している。

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開場時間になって、店内に招き入れられる。
店内フロアの約半分はイスだけになった客席。残り半分には青銅製のガムラン楽器がフロアに直置きされて、その後ろには影絵芝居用のスクリーン。ン?! お人形を支えるためのバーが客席側、”影”を作るために光源も同じ側にあるということは・・・。

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席を確保しておいて、開演までもう一服ケムリを吐いていようと外に出掛けたら、ドア内側に「ねこがいます」と張り紙。思わずニャンコの気配を探す。
その猫と対面出来たのは煙草を吸い終わって店内に戻った時。楽屋に当てられている二階からエスケープしてきたらしい猫は、青銅製の楽器が珍しいのか、その辺りを行ったり来たり。その愛らしいネコと遊んでいたかったが、それは叶わず。

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前売り分のチャージと別途1ドリンク分の料金を支払って、開演時間を待つ。ドリンクが付くのは聞いていたが、待ち時間なり終演後に名物のカレーを食べることが出来るとは知らなんだ!! 買い物がてら梅田で食事を済ませてきてしまったのが後悔のもと。次はカレーだけ喰いに伺わねば。

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そうこうするうち、衣装に着替えたメンバーが楽屋になっている二階から降りてくる。
「お待たせしました。そろそろ始めましょうか」、アットホームというかガムランらしく緩ゥく開演。
ジャワ・ガムランの要、テンポを司る太鼓チブロンを操るのは黒一点(?)のアナントさん。女性陣は青銅製鍵盤打楽器、サロンウルントゥム。もうひとつの要であるゴン(銅鑼)は使われていない。
どうなるのかしらン? ・・・と訝しんでいると・・・、手数が足りない分は歌で盛り上げるとばかりに、伸びやかで美しい歌声が披露される。
ワンコイン市民コンサート」で聴いた古式ゆかしい王宮での宴のイメージでもなく、もっと現代的な、ジャワ・ガムラン的ラヴソング・・・とでもいうのか、夫婦やパートナーとの愛情、葛藤を歌う楽曲が続いて、(インドネシア語はまるで理解出来ないが)親しみやすくも楽しめる構成。
員数こそ少ないものの、手数、音数が少ないといった印象は薄く、音密度は高く感じられる。太鼓は、両手で両面を叩くだけでは飽き足らず、指先まで細かく使って微細なリズムを刻む。鍵盤打楽器群はアクロバティックなグルーヴを響かせて、音が緻密でタイト、それがとてもスリリングで、クールでさえあるような。

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休憩を挟んで、後半はジャワ伝統の影絵劇ワヤン・クリ(Wayang Kulit)。ワヤンが「」、クリが「」を意味し、それに使われる人形などは極彩色に着色された牛の皮から作られる。スクリーン後方に光源を置いて、皮革製の人形を操作し、スクリーンに投影する。
今でこそ誰もが”影絵”を観ることが出来るが、本来”影”として鑑賞出来たのは王侯貴族だけに限られ、民衆はスクリーンの光源側で”影”ではなく極彩色の皮革製人形の動きを直接観ていたのだとか。”影絵”用のお人形が色とりどりに着色されているのには、そうした理由があった訳ですな。
ワンコイン市民コンサート」でも、客席から影絵を拝見しつつ、ステージに上がってその裏側も覗き見ることが出来たが、今日は完全に光源側から観るスタイル。というのも、現地ジャワでは、影絵として楽しむより、光源側からカラフルな人形劇を観るのがトレンドとなっているのだとか。

今日の演目はインドの古代叙事詩『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』。本来は長大なエピックを、今日はぐいっと濃縮して30分の短縮版。とはいえ、それに使われる人形は十数体を数え、アナントさんがたった独りでそれを操りながら、物語りを語り、胡座を組んだ足先に付けた小さなドラを鳴らし、時に左手で木製箱型の打楽器を鳴らす。セリフやナレーションはカタコトの日本語混じりのインドネシア語。アドリブ的なセリフも入って、古代叙事詩はちょっとコミカルな(?)展開と良い子は観てはいけません的なオトナなシーンを含んだ一大アクション・エンターテインメントとなる。

コーサラ王国のラマ王子と美貌のシンタ姫のラヴシーンがあるかと思えば、猿の戦士アノマン、鳥王ジャタユが魔王ラワンと丁々発止、壮絶なバトルを繰り広げる。人形遣いに依って操られる人形たちは時にその手を離れ宙を舞い、そうかと思うと、生あるように細やかな愛情まで表現する。トリックスターな妖怪も何体か登場し、それぞれが本筋からちょっと外れた即興芝居で場を盛り上げる。

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客席から立ち上がって、今日もスクリーン裏・・・今日の場合は表裏が逆転し”影絵”の方・・・を観ることも許される。が、人形を操作するアナントさんの動きが超絶で、それから眼が離せない。
大スペクタクルな影絵劇ワヤン・クリをさらに賑やかにヒートアップさせるのがガムランの音色。即興的な人形たちの動きにシンクロし、前半以上にドラマティックでエモーショナル。女性3名が3台の青銅製鍵盤打楽器を駆使してラーマーヤナの世界を現出させる。アナントさんの足につけた小さなドラと時折り左手で叩く木製箱型打楽器が太鼓の代わりか、ビートのベースをなしてリズムを喚起、アドリブのようでありながら息の揃った演奏は、ジャム・セッション的クールさと、規模はう~んと小さいはずなのにバレエやオペラ、楽劇を観るようなインパクト。スイートなラヴ・シーンをさらに甘やかに彩り、白熱のバトル・シーンはよりヒートさせる。
ワンコイン市民コンサート」や先日の「いちょう祭」で拝見した演奏がビッグバンド的なおおらかさだとしたら、今日は4ピース・コンボ、スリリングでクーーーーール!! ジャワ・ガムランの印象がちょっと変わりました。ジャム・セッション的なジャワ・ガムランジャワ・ガムランのジャズ・セッション? ジャワ・セッション? プログレッシヴ・ロックやシンフォニック・メタル系のMVを観ているような気にもなる。

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魔王ラワンを倒し、美貌のシンタ姫を取り返して、魅惑の叙事詩は大団円。予定を30分もオーヴァーしたライヴ・パフォーマンスもこれでお開き。
終演後は写真撮影会。今日のライヴでは演奏中も撮影が許されていたのだけれど、改めてメンバーさんやワヤン・クリで使った人形たちと記念撮影。
今まで抱いていた印象を変えさせるような、より興味を惹かれるような、ジャワ・ガムランワヤン・クリアナントさんとTidak apa apaのパフォーマンス。また機会があれば伺いたいものです。

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