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Je Connaissais Francis Poulenc. [音楽のこと]

今日も大阪大学豊中キャンパスへ通います。ええ、先月に続いて、今月も「日曜ガムラン」と「ワンコイン市民コンサート」が同じ日時に重なって、まさに身を裂かれる思い。いっそ、この身を引き裂いてふたつにして欲しいくらいで・・・。

 

先月は「日曜ガムラン」終了後に「ワンコイン市民コンサート」の後半に駆け込むという強硬手段を取ったが、今日はジャワ・ガムランのワークショップを諦めて、14:30の開場に合わせてコンサート会場となる大阪大学会館にエントリー。
シリーズ第63回となる今日のプログラムは「瀬崎紀子ピアノリサイタル 〈天才フランシス・プーランクの魅力〉」。天才プーランクが(自称)天才のワタシを呼ぶのだもの、行かなくてどうするよ(てへ)。

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先月のオール・ショパン・プログラムに続いて、今回はオール・プーランク・プログラムで、前半は彼が多く手掛けたピアノ独奏曲から佳曲・良作を選りすぐり、後半は朗読と映像を加えて音楽物語「子象ババールの物語」をたっぷりと。

その演奏者、瀬崎紀子さんは・・・、
同志社女子大学音楽学科ピアノ専攻卒業、同大学音楽学会特別専修生修了。パリ・エコールノルマル音楽院ピアノ科高等演奏ディプロム、室内楽科高等演奏家ディプロム取得。ヴェルサイユ地方音楽院伴奏科卒業。大阪音楽大学大学院音楽研究科修了。
第1回グスタフ・マーラー国際ピアノコンクール第3位、第4回堺国際ピアノコンクール第2位。
在仏中、ヴェルサイユ地方音楽院、ヴィロフレイ市立音楽院において伴奏ピアニストを務め、チェコの室内オーケストラと共演、プラハにてラジオ放送に出演。東京トッパンホール、京都青山音楽記念館の他、フランス国内においても度々ソロリサイタルを行う。ピアノデュオ、室内楽、歌曲伴奏など、アンサンブルピアニストとしても活動している。
大阪音楽大学演奏員、大阪成蹊大学非常勤講師。
・・・というプロフィール。

そんな彼女が今日のために選んだ演目は・・・、

フランス組曲 FP80a(クロード・ジェルヴェーズによる)
  Ⅰ.ブルゴーニュのブランル
  Ⅱ.パヴァーヌ
  Ⅲ.小軍隊行進曲
  Ⅳ.嘆き
  Ⅴ.シャンパーニュのブランル
  Ⅵ.シシリエンヌ
  Ⅶ.カリヨン

即興曲 FP63,FP113&FP170より
  第7番 ハ長調 FP63
  第8番 イ短調 FP63
  第12番 変ホ長調(シューベルト讃) FP113
  第15番 ハ短調(エディット・ピアフ讃)  FP170

主題と変奏 FP151

子象ババールの物語 FP129(朗読・映像つき上演)

・・・と、パリ・エコールノルマル音楽院での研鑽をプーランクの楽曲に結晶させたプログラム。

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いつもの通り14:30開場で、受付後、いつも通りワタシの指定席となっているバルコニーA-32へ。
先月は後半だけの駆け込みで、1階の最後列、さらにその後ろの壁際で立ち見となったが、やはりこの馴染んだ2階席が落ち着く。特に今日は、映像付きの音楽物語が控えているから、ステージを見渡せる席がいい。

15:00、予定通り開演。ボルドーかブルゴーニュの葡萄酒を想わせる色のドレスを纏った紀子さんが1920年製Bösendorfer252にスタンバイ。呼吸を整え、ヴィンテージなピアノと息を合わせてから、一曲目。
わずかに1分〜3分弱の小品を7つ重ねたピアノ組曲「フランス組曲(Suite française d'après Claude Gervaise)」は、1935年、プーランク36歳の作品で、ルネサンス期の作曲家クロード・ジェルヴェーズ(Claude Gervaise 1525–1583)の舞曲を下敷きに現代パリのフレーヴァーをふんだんに効かせたハーモニーで、いかにもプーランク的、いかにも現代的に仕上げた、温故知新的楽曲。

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次の曲の前に、プーランクのひととなりをご紹介。
フランシス・ジャン・マルセル・プーランク(Francis Jean Marcel Poulenc 1899年01月07日-1963年01月30日)は、裕福な実業家の息子としてパリに生まれ、パリに没した、生粋のパリジャン。64歳で亡くなるまで何故か、ずぅーッと独身を通した。
幼少期より母からピアノの手ほどきを受け、その後リカルド・ビニュスに師事。本人はパリ音楽院入学を望んだが、父の反対を受けて残念、3年間兵役に就き、その除隊後にシャルル・ケクランのもとで作曲を学ぶ。
ビニュスは、ドビュッシーラヴェルサティの楽曲の初演をよくしたピアニストで、その縁あって若きフランシスくんはエリック・サティと知り合うことになる。天才は天才を呼ぶ・・・のか、サティから紹介されたジャン・コクトーのサロンで、のちに「Les Six(フランス6人組)」となる作曲家たちの知遇を得る。
コクトー
のプロデュースで「Les Six」の一員となったプーランクは、さらにその集いで、マティスデュフィクレーピカソブラックなどなどの画家、アポリネールジャコブジャムなどなどの文人・詩人たちと出逢う。
「ベル・エポック」から大きな戦争を挟んで「狂騒の20年代」へ向かう時代の、近代から現代への変化点で、この時代のパリを代表する天才たちに囲まれて、プーランクの中の天才は開花し実を結ぶことになる。

ひとつ前の世代、ドビュッシーたちが印象主義、象徴主義と一括りにされたように、新しい時代の「六人組」は新古典主義と定義される。
破綻へと進む音楽を糺そうと、クープランラモーなどのフランス古典音楽に範を求めつつ、ワグナードビュッシーストラヴィンスキーなど前世紀末から新世紀の作曲家からもインフルエンスされ、もうひとつのニューウェーヴであるジャズの要素まで取り込んで、やはり絵画や文学の影響もあって、輪郭線のはっきりした、メロディアスで明瞭な音楽を創造した。

例えるならそれは、伝統的な手法で作られたお茶に現代パリのエスプリという香りを付加したフレーヴァード・ティー・・・かな。作品によって、フルーティであったりスパイシーであったり、甘やかでもあり刺激的でもあり・・・。
お茶なので酩酊することはないけれど、なんとなく後を引く、華やかで馨しい、ハマるとクセになってしまうような、至福を齎らす着香茶。

演奏に戻って、「即興曲(15 Improvisations)」から4曲、「主題と変奏(Thème varié)」と続く。シューベルトをリスペクトしても、ピアフを讃えても、とてもプーランク。
紀子さんの奏でるBösendorferはキレがあって、ドライブ感さえ覚えさせる。硬度の高い音の粒子がキラキラ綺羅星のようにホールいっぱいに広がって、窓の外から差し込む麗光とマリアージュ、眩しいほどの好演。

前半を終え、休憩中にレイアウト変更。後半はスクリーンが主役?

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子象ババールの物語(L'histoire de Babar, le petit éléphant) ワンコイン市民コンサートスペシャルヴァージョン」は、原作者ジャン・ド・ブリュノフ(Jean de Brunhoff 1899年12月09日-1937年10月16日)の紹介とババールの成り立ちから。
プーランクと同い年で友人でもある絵本作家ブリュノフによって創造された、服を着て二足歩行する架空のゾウ、ババール。1931年に発表されたその絵本は外国語訳が進み、世界中の子供たちを夢中にさせて、ブリュノフが早逝した後は息子が跡を継いで書き続けられたファンタジー。うちの息子さん(18)世代はカナダ製作のTVアニメーションの方が馴染み深い?
プーランクが親戚の子供たちにせがまれて音楽物語としたのは、父ブリュノフが著した部分。長いお話しのほんのとっかかり。ババール誕生から王位継承まで。

象の国に生まれたババールは母の大きな背中に乗ってお散歩中、悪いハンターに母を銃撃され、自身も捕まりそうになり命カラガラ逃げ延びて人間の暮らす街までやってくる。そこで優しく親切な老マダムと出逢い、オシャレに目覚め、教育を受け、クルマの運転まで覚える。そんなある日、象の国からいとこのセレステとその弟アルチュールがやってきて、ホームシックになったババールは象の国に帰還。折りしも先王は悪いキノコを食べて急死!! 都会の教養を身につけたババールが新王に推挙される・・・というのが、ツッコミどころ満載な荒唐無稽な物語りのごくザックリしたあらすじ。
セレステと結婚し、子供を設け、犀の国と戦って・・・というのは、のちのお話し。

プーランクの音楽物語はピアノと朗読。そのセリフは音楽化を承諾したブリュノフの手に依る。
ワンコイン市民コンサートスペシャルヴァージョン」では、紀子さんのピアノと青柳いづみこさんの朗読にワンコイン市民コンサート実行委員会代表萩原先生によるアニメーションまで加わる。このプログラムのためにブリュノフのテキストを日本語訳したのは紀子さんで、大阪音楽大学大学院音楽研究科時代の恩師でもある青柳先生が"赤"を入れての上演とのこと。

青柳いづみこさんは・・・、
安川加壽子、ピエール・バルビゼの各氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。1980年のデビュー・リサイタルは毎日新聞紙上で大木正興氏に絶賛される。83年、東京芸術大学大学院博士課程に再入学。89年、論文『ドビュッシーと世紀末の美学』により、フランス音楽の分野で初の学術博士号。
1990年、武満徹・矢代秋雄・八村義夫作品を集めた『残酷なやさしさ』により、平成2年度文化庁芸術祭賞。
日本ショパン協会理事。日本ピアノ教育連盟中央運営委員。日本演奏連盟及び日本文芸家協会会員。大阪音楽大学教授、神戸女学院大学講師。
ピアニスト、エッセイスト、音楽博士で大学教授、ドビュッシー研究家でもあり、祖父君は仏文学者青柳瑞穂・・・なのだから、お一人で翻訳から演奏まで出来そう・・・だけれど、今日は子弟、紀子さんを立てて・・・?!
紀子さんが在学中は師弟、卒業後は友人として親交を重ね、お二人で「デュオ黒猫派」という連弾ユニットを結成。昨年11月には息の合った、ノリのいいキャトルマンを聴かせて下さった(→記事参照)。

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師弟コンビの演奏とナレーションに合わせて、ステージ後方の大きなスクリーンにブリュノフが描いたババールが映し出され、お子様向きの絵本、音楽物語と侮れないほどドラマティークで、大人も観ごたえ十分、聴きごたえたっぷり。約30分、しっかり楽しませて頂いた。

アンコールは、「デュオ黒猫派」の連弾を期待しちゃったンだけど、それは叶わず、紀子さんのソロで「ノヴェレット(novelette) 第1番」。これはこれで、詩的に素敵。
パリのパルファン漂う、キラキラきらめく、オール・プーランク・プログラム、たっぷり堪能させて頂きました。

さて、来月は・・・、
2002年、弱冠32歳の若さで、ミュンヘン国立音楽大学ピアノ科教授に就任。その後、国際講習会の講師として招聘されるなど、後進の指導に力を注ぐ。ドイツ音楽コンクールの審査員を勤めるなど、ヨーロッパを中心に多方面の活動を行っている今峰由香さんのリサイタル。
苦悩を超えた先にある希望。そのコンセプトを表現する「今峰由香ピアノリサイタル『ベートーヴェンとシューベルト:希望を求めて』」のプログラムは、

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
  ソナタ 第9番 ホ長調 作品14-1

フランツ・シューベルト
  4つの即興曲 作品90 D899
  シェイクスピアのセレナーデ D889
  糸を紡ぐグレートヒェン D118
  4つの即興曲 D935 より第3曲 第4曲

日時は、4月9日(日)14:30開場15:00開演。場所はもちろん、大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館

そして5月は、ワンコイン市民コンサートシリーズ5周年特別公演、「高橋悠治+青柳いづみこ『パリ1911-1913』」。
本日、ナレーターとして特別出演された青柳いづみこさんは、「ワンコイン市民コンサートシリーズ第1回」を皮切りに、周年記念公演のたびにご出演となるワンコイン市民コンサート・アーティストの"ラスボス"的存在?! 毎回凝ったプログラムで楽しませて下さるが、昨年の4周年記念(→記事参照)に続いて、5年目のプログラムは再び高橋悠治さんとのデュオ。前回が2台4手で、次回は〈青柳いづみこ+高橋悠治の気になる連弾〉とサブタイトルがついて、イーゴリ・ストラビンスキーセルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために作曲した春の祭典」と「ペトリューシカ」を作曲家自身によるピアノ連弾版でご披露して下さいます。
満員札止め必至、聴き逃すと後悔すること不可避な特別公演。スペシャルなのに"ワンコイン"で、5月14日(日)14:30開場15:00開演。早めの予約が吉!!
ストラビンスキー
の三大バレエ音楽からの2題。そうなると、「火の鳥」も聴きたくなっちゃう?!

そして、そして・・・。
ワンコイン市民コンサート・ボーナス・ヴァージョン
? ・・・な「沼沢淑音リサイタル@B-tech Japan」の追加公演が決定!!
大阪大学会館を飛び出して、新大阪駅近くのB-tech Japan Osakaで3月25日(土)に開催される、ワンコイン市民コンサート・アーティスト沼沢淑音(Yoshito Numasawa)さんのピアノリサイタルは先着30名様限定の特別編。そちらはすでに予約でソールドアウト。
・・・ということで・・・、
追加公演として、4月16日(日)に、場所は同じくB-tech Japan Osaka、こちらも先着30名様限定、3月と同じプログラムで催される運びとなりました。
そのプログラムは・・・、
グリーグバラード 作品24
スクリャービンファンタジー 作品28
メトネルおとぎ話 作品20
ショパンピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58
フォーレ夜想曲 第1番 変ホ短調 作品33-1」、「同 第2番 ロ長調 作品33-2

このあともすごいプログラムがラインナップされています。詳細は「ワンコイン市民コンサート」のHPをご参照あれ。
Salut! A très bientôt j’espère.


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