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日曜ガムランとショパン・レトロスペクティヴ [音楽のこと]

本日、2月19日(日)は、大阪大学豊中キャンパスで恒例の音楽イベントが2つ重なってしまって、ココロはふたつ身はひとつ、さてどうしたものかと思案の末・・・。

 

昨年11月13日(日)に「ワンコイン市民コンサートシリーズ第59回ジャワ曼荼羅』」で催されたワークショップでお誘いを受けたジャワ・ガムラン体験講座が、月に一度開かれる『日曜ガムラン』。大阪大学を拠点に関西で活躍されておられるジャワ・ガムラン・グループDharma Budaya(ダルマ・ブダヤ)が主催するそのワークショップ、12月17日(土)に訪ねてみて、その面白さに惹かれ、毎月お邪魔しますと言いながら、1月は身内の弔いごとがあって当日ドタキャン。2月はきっと伺いますと言っていたら、その開催日が今日、19日(日)。

一方、「ワンコイン市民コンサートシリーズ」も月一回の恒例演奏会で、ワタシはほとんど欠かすことなく観覧していて、年内いっぱい、12月までの開催日はアナウンスされていて、聴きたいプログラムが目白押し。
第62回」となる今日は『加藤幸子ピアノリサイタル オール・ショパン・プログラム ~ ショパン・レトロスペクティヴ』。
ショパンはちょっと苦手・・・だったのだけど、最近ようやっとその良さに目覚めた・・・というか、理解出来るようになってきた。というより、フランス近代音楽を深く知ろうと思えば、このワルシャワ生まれのピアニスト・コンポーザーを避けて通れない・・・ンじゃあないかしらン?!
それを確認するためにも、他の楽曲はともかく、「ノクチュルヌ」と「バラード」は聴いておきたいが・・・。

そのふたつのイベントがほぼ同時刻に重なって催される。ココロはふたつ、身はひとつ。修行が足りず、分身の術はまだ会得していない。んン、ショパンも捨てがたいが、聴くより演る方が面白い・・・ということで!!!?

幸いなことに(?)、どちらも大阪大学豊中キャンパス内で催され、「日曜ガムラン」が14:00〜16:00、「ワンコイン市民コンサート」は15:00開演。うまくすればコンサートの休憩中、後半前に滑り込める・・・ンじゃあないかしらン?!

何れにしても、阪大豊中キャンパスへ向かわねば。

日曜ガムラン」は文学部 芸術研究棟にて。
前回12月は講義室だったが、今日はそちらが使えないようで、楽器を収めている倉庫(?!)のような部屋に案内される。楽器類はもうスタンバイされて、フロアを埋め尽くすそれらの合間を縫うように入り、その隙間に長い脚(?)を折り畳む。
今日は総勢7名。
聞けばなにやら、4月に学園祭「いちょう祭」があって、Dharma Budayaもそれに出演、ワークショップ参加者もそのうち数曲だけ参加する・・・とかで、今日はその課題曲(?)2題のお稽古。

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カレンダーの裏(!!)に手書きされる数字の羅列がガムランのスコア、バルンガンと呼ばれる骨格になる旋律で、数字がサロンスレントゥムボナングンデル・・・青銅製の楽器が奏でる音高を示している。
最初に練習するのは「Lcr. Manyar Sewu s. m.」。ランチャラン形式スレンドロ音階を使ったマニュロ調の楽曲。
ランチャランは、16拍の、一番シンプルな形式で、16拍ごとに節目のゴングが鳴り、1ゴンガン(ゴングが1回鳴る節目)にクノンが4回鳴る形式。
スレンドロ音階とは、1オクターブをほぼ五等分した音階、スコア上1〜6の数字で表される。
"bk"はブコ(Buka)、前奏にあたる。木製フレームに10〜14個並べられた小型のこぶつきゴング・・・ボナン(Bonang)がそれを奏してリードするが、テンポを決めるのはクンダン(Kendhang)やチブロン(Ciblon)などの太鼓類。二ヶ月ぶりの二度目、理解しているつもりが覚えていないというか、きっちり思い出せない(苦)。
演奏前にたまたま座っていたのが小さい方のサロンの前。そのままそれを担当することに。

スレンドロ用のサロン(Salon)には青銅製の鍵盤が7つ、1〜6とオクターブ上の1。タボ(Taboh)と呼ばれる木槌で叩く。西洋音楽の音階に馴染んだ耳にはジャワ・ガムランの音高はピッチがズレているように聴こえてしまう。が、アンサンブルになると、それが干渉し合って、いい響きになるから不思議。
サロンを演奏するにあたって、なにが大変と言って、青銅製の鍵盤は余韻が長く、空いた方の手でミュートしてやらないと、音が重なると濁ってしまう。文字譜を目で追いつつ、右手でその数字通りのキーを叩いて、次の音を叩く瞬間に左手で前の音を消してやらないといけない。アタマでは理解している・・・つもりだが、カラダがついていかなくて・・・。要特訓(!)ですな。

ひととおり演奏を終えるごとに楽器をローテーション。大きいサロンを挟んで、吊り下げ型こぶ付きゴングのクムプル(Kempul)。木製フレームにぶら下げられた大きな銅鑼なのだが、手狭なせいで、素直な順番でもなく、最低音は振り向きながら瞬間的に二連打しないといけない。カラダが捩れる・・・前にノウミソがねじれてしまうゥ!!
それまで使っていたサロンが8つ打ちだったのが、クムプルは4つ。手持ち無沙汰なようでいて、覚束無いのが情けない。

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休憩を挟んで、後半は2曲目の「Ktw. Sinom Parijatha Sl. Sanga」。先ほどの曲と同様16ビートになるが、途中にリピートが入ったり、テンポが変わったり、少々複雑。
触れたことのない楽器・・・クノン(Kenong)に挑んでみる。共鳴板となる木製枠に紐を張り、そこに伏せられた大きな銅製のお釜? それが12台で一組。造りが大きいので、アクションも大きくなってしまうが、サロンクンプルより、さらに手数が減って16拍のうち2つだけ。待っていられないィィ!! おまけに、叩くタイミングがかなり微妙で、サロンなどに"ひと呼吸"だけ遅れて叩けとの指示。

地べたにペタンと座って、足が痺れるやら攣ってしまうやら、ドラに挑んで腰が捩れるやら、悲鳴続きで、気がついたらアッという間の2時間(汗)。
それぞれの楽器の音高や特性をアタマに入れて、スコアもしっかり暗譜しないと、両方を考えながらだとカラダの反応がかなり遅れてしまう。やっぱり、要特訓!! 数時間でマスター出来るものではない。

いちょう祭」での演奏に加わるかどうかはお稽古の成果次第なのだろうが、とりあえず「日曜ガムラン」だけでは練習不足は否めない。他の練習日にも参加させて頂くことを表明したものの、そんな時間が作れるのかしらン?! いえ、きっと伺います。

楽器類を所定の位置に片付け終えたら、挨拶もそこそこに、キャンパス内をショパンが待つ大阪大学会館目指して全力疾走!!!!

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いつもはバルコニーのセンターを指定席とするワタシではあるが、今日は途中入場でそうもいかず、ホワイエの受付で断りを入れて1階フロアの最後列・・・のさらに後ろで立ち見。座席はほぼほぼ埋まってしまっている。
インターミッションには間に合わず、後半の1曲目「バラード 第1番 ト短調 作品番号23」、その序奏から主題に移ったころ。

ワタシの事情に関わらず、いつも通り14:30開場、15:00開演となった「ワンコイン市民コンサート」。『加藤幸子ピアノリサイタル オール・ショパン・プログラム ~ ショパン・レトロスペクティヴ』のプログラムは、

マズルカ 嬰へ短調 作品番号6-1
マズルカ ニ長調 作品番号33-2
マズルカ ロ短調 作品番号33-4
華麗なるワルツ イ短調 作品番号34-2
ワルツ 第9番 変イ長調 「別れのワルツ」 作品番号69 -1
ワルツ 第10番  ロ短調 作品番号69-2
ワルツ 第14番 ホ短調 遺作
ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
ノクターン 第4番 ヘ長調 作品番号15-1
ノクターン 第15番 ヘ短調 作品番号55-1
幻想曲 ヘ短調 作品49


休憩

バラード 第1番 ト短調  作品番号23 
バラード 第2番 ヘ長調  作品番号38
バラード 第3番 変イ長調  作品番号 47
バラード 第4番 ヘ短調  作品番号52

ほんとにこれだけ演奏されたのかしらンと思うくらいに詰め込まれて、やはりアタマから聴きたかったと後悔してもあとの祭り。後半だけでもショパンバラード全曲集(!?)ですから。

演奏者は加藤幸子(Sachiko Kato)さん。
"美しい音色、幅広いレパートリーと豊かな想像力を持ったピアニストとして知られる加藤幸子は、大阪出身、5歳からピアノを始める。14歳で渡米して以来、数々の賞を獲得。ジュリアード音楽院卒業後、カーネギー小ホールでのニューヨーク・デビューを皮切りに、米国各地で、リサイタルや室内楽コンサートに出演。また日本の現代音楽を世界に紹介するためのコンサート・シリーズWeaving Japanese Soundsをたちあげ、芸術監督として活動。日本・カナダ修好80周年記念の一環として、国際交流基金の協賛の下、カナダ国立美術館を始めカナダ各地でリサイタル、日伯交流年を記念しブラジル各都市でコンサート・ツアーを行うなど精力的な活動を行う。また歴代のジュリアード音楽院卒業生の中から、傑出した100人のうちの一人として、100周年記念誌でその音楽活動を称えられ、その演奏はニューヨークの公共ラジオ局WNYC並びにWQXR、KMZT(ロスアンジェルス)などで放送されている。
2011年にはCentaur Recordsレベルからバッハのゴールドベルク変奏曲をリリース。批評家から、「加藤幸子の演奏は本当に特別なものであり・・・バッハのゴールドベルク変奏曲を愛好する人に是非聴いてもらいたい」「ビロードのように柔らかくシルクのように繊細な音・・・素晴らしく想像力のある演奏・・・らくらくと弾いているようだ」と賞賛される。また日本経済新聞の「ピアニスト」と名打ったコラムにて、評論家の故杉本秀太郎氏の賞賛を受ける。
2016年には、ニューヨークのクラシカル音楽ラジオ局WQXRのコンサート・ストリーミング企画「ショパン・マラソン」へ招聘され、その生演奏は世界中にストリーミング発信された。
現在ニューヨーク市マンハッタン北部に在住。今年の抱負としては、ユニークなピアノメソッド本の執筆を計画している"

・・・という経歴のピアニスト。

ワンコイン市民コンサート」には二度目のご出演で、前回「第35回」はブラームスのソナタ2題に、J.S.バッハゴールドベルク変奏曲 BWV988」という演目(→記事参照)。「ゴールドベルク」も圧巻だったが、あの日のお天気に合わせたものか、アンコールの「雨の樹素描」が素敵に、今もこの胸に残っている。

さて、今回の『オール・ショパン・プログラム』。いずれも改めて語るまでもなく、広く知られる楽曲揃い。『ショパン・レトロステクティヴ(Chopin retrospective)』と副題されて、さて、なにを回顧されるのでしょう。
残念ながら、前半を観ないワタシ、選曲理由は伺い知れない。後半のバラード全曲集に集中する。

と、ステージ上の1920年製Bösendorfer252の声音がいつものバルコニー・センター席と違って聴こえる。高音域の伸びがやや影を潜めて、低い方の音が響き過ぎる・・・というか、低音が振動となって床を伝わる。少し音が濁って感じられる。ただでさえ、突発性難聴で両耳とも壊れて以来、高い音が聴き取り辛い。1階席では見下ろすことも出来ず、鍵盤の上を踊るピアニストの運指を追うことが適わないから音を視覚するわけにもいかない。
だが、それが幸い(?)、その環境的ハンディキャップを意識的に補正してみれば、華麗でメロディアスな旋律を下支えするショパン独自の和声がくっきりと浮かび上がってくる。

前述の通り、若い頃は、なんとなくチャラい気がして、ショパンは苦手だった。感傷的で、少々甘過ぎる・・・と思い込んじゃっていた。「ピアノの詩人」にしては、オーヴァーデコラティヴな気もしていた。その多少饒舌な語り口の後ろにあるものまで意識が及ばなかった・・・のだろう。

ショパンは生誕から二百余年を数える今日でも多くの聴衆に愛されて、多くのピアニストを魅了し、演奏される機会も多い。そして、「ピアノの詩人」は、本人が「そもそも音楽は歌であるべき」と言った(らしい)とかで、歌曲も多く手掛け、ピアノ曲も声楽的。作曲家としてより演奏家としての傾向があったからか、多くの作品は即興的でもあって、独自のハーモニーと相まって、解釈が分かれる要因ともなっている。ピアニストが百人いれば百通りの受け取り方があるのではないか・・・と思う。

素材は祖国ポーランドに求めつつ、レトリックはフランス的。それを読み解くキーワードは「ニュアンス」と「アンニュイ」。のちの象徴派詩人に受け継がれ、ガブリエル・フォーレクロード・ドビュッシーまでもインフルエンスしたショパンの詩情。政治的・経済的な理由も含みつつ、ワルシャワ生まれのピアニストがパリで受けたのは、エキゾティックでありながら、そのレトリックの中にある"フランス近代音楽の先駆け"的なニュアンス。
そのデリケートな歌心が、その繊細さ故に少しずつ表現を変えて、多くのピアニストに感染し(続け)ているのではないか・・・と思う。

味わいとしてはブラッシュなロゼワイン。その上澄みの部分が口当たりが良くて美味なのは誰もが知るところ。しかし、澱までが余さずショパン。どのように熟成・発酵させて、どうデキャンタージュするかはピアニスト次第。デザートワインやヴァカンスのワインとしてしまうのか、キリッとしまった辛口に仕上げるのか・・・。
あまりにデリケートでニュアンス重視なショパン・ワインはデキャンティングで風味が変わってしまう。

終演後のインタヴュウで、「ショパンは得手ではなかった」と仰る幸子さん。何時とはなく、ショパンにインフルエンスされたのか、今日のオール・ショパン・プログラム。
前半こそ聞き逃したが、後半の「The Four Ballades」は何れも、過度の感傷を控え、歌い上げるというより朗読劇を聴くような印象を得た。淡々と語られるばかりではなく、と言って、過剰にセンチメンタルなわけでなく、いい塩梅に抑制されたストーリーテリング。バルコニー席で聴けば、異なるニュアンスを得たかもしれない。前半から全曲聴くことが出来れば、もっと違う印象を受けたかもしれない。

パリ在住ポーランド生まれの詩人の作品に触発されたというショパンの「バラード」。そのポーランド語の詩篇を読解出来れば感じ方は変わるのかもしれないが、それが敵わないから、4曲の「譚詩曲」は4編の(ショパンの)物語りと受け止める。祖国ポーランドを離れ、パリに遊び、ジョルジュ・サンドと出逢い、マヨルカ島からバルセロナ、マルセイユ、ノアンへと続く逃避行。そして、・・・。

そして、アンコールは「ノクターン 第15番 ヘ短調 作品番号55-1」。プログラム前半に収まりきらなくて、割愛されて、アンコールとなったようだが、ワタシにとっては有り難い。・・・「ノクターン(nocturne)」、あえて(フランス語で)「ノクチュルヌ(nocturne)」としたいが、ショパンがその39年の生涯に20曲も手掛けた「夜想曲」。それは20章からなる私小説。
夜に想うことは多々あって、人其々なら、日々憶えることも様々(→記事参照)。「ノクチュルヌ」も「バラード」同様、「ニュアンス」と「アンニュイ」、ショパンの想いと共に、演奏家の想いがそこに現れてもいいんじゃないか。幸子さんの演奏を聴いてそう感じた。

今日は、駆け込みで、半分だけになってしまったが、全曲をバルコニー席でじっくりと聴かせて頂きたかった。「日曜ガムラン」を楽しんだとはいえ、惜しいことをしてしまった。

さて、来月、3月の「ワンコイン市民コンサート」は12日(日)開催で、『瀬崎紀子ピアノリサイタル〈天才フランシス・プーランクの世界〉』。タイトル通りにオール・プーランク・プログラムで・・・、
第1部
フランス組曲(クロード・ジェルヴェーズによる)
Ⅰ.ブルゴーニュのブランル
Ⅱ.パヴァーヌ
Ⅲ.小軍隊行進曲
Ⅳ.嘆き
Ⅴ.シャンパーニュのブランル
Ⅵ.シシリエンヌ
Ⅶ.カリヨン

即興曲より 
第7番 ハ長調 
第8番 イ短調      
第12番 変ホ長調(シューベルト讃)
第15番 ハ短調 (エディット・ピアフ讃)          

主題と変奏

第2部
子象ババールの物語(朗読・映像つき上演)

前世紀フランスの香りをたっぷり堪能出来る?! 後半は映像と青柳いづみこさんによる朗読が加わわる音楽物語、絵本の世界が展開される。

非常に楽しみではあるのだが、非情なことにまた「日曜ガムラン」と日時が重なってしまう・・・かも。さて、どうする?!


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