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紅葉の中の印象派 [散歩・散走]

11月は「アート月間」。最終日の今日は水曜日なのだけど、お休みを頂戴して、会期終了が迫った『うつくしいくらし、あたらしい響き - クロード・モネ』を観賞すべく、天王山中腹にあるアサヒビール大山崎山荘美術館を目指します。

 

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開館20周年記念 うつくしいくらし、あたらしい響き - クロード・モネ』は9月17日から12月11日までを会期とするアサヒビール大山崎山荘美術館のエキシビションで、すでに一度10月8日に訪れている(→記事参照)。
仏蘭西近現代の文化・芸術を考究対象とし、クロード・ドビュッシーの作品に心酔するワタシにとって、彼と同じファーストネームを持つモネも見逃すわけにはいかない。ほぼ同じ時代を生きた二人のクロード。音楽と絵画、作り出すものは違っても、何か共通する要素があるのでは・・・というのが観賞ポイント。
クロード・モネ(Claude Monet 1840年11月14日 - 1926年12月05日)は、「光の画家」とも呼ばれる、「印象派」を代表する画家。クロード・アシル・ドビュッシー(Claude Achille Debussy 1862年08月22日 - 1918年03月25日)は、本人は否定的であったそうだが、一般的に「印象主義音楽」と呼ばれる。共通する「印象」はナニで、ドビュッシーはナニを否定したのか。それがワタシの考察主題。

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前回は往復ともBD-1Rを駆っての全自走としたが、今回は輪行で向かう。
途中経路があまりに味気ない、あまりに退屈な35kmなうえ、かなり出遅れてしまいノンビリしている時間がない。絵画鑑賞とともに、天王山の紅葉散策も楽しむにはその分脚も残しておかないといけない・・・というわけで。
JR新大阪駅から折り畳んだ自転車を携えて京都線に乗り込む。

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登山口の陶版。横に見えるスロープが・・・。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

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まさに、こーいう状態。このまま事切れるかと思った・・・?!

山崎駅で下車。駅前の喫煙所でタバコ2本分の休憩をとって、天王山登山口から中腹の美術館駐輪場までジゴクのヒルクライム。バイクを停めて、ロックしようとしゃがみこんだらそのままダウン!! シリモチ!! 真っ白に燃え尽きて、立ち上がれない!!

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琅玕洞

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本館(霽景楼)


「立てッ!! 立つんだ、ジョーッ!!!!」と一人二役していると、ちょうど開館の時刻。平日だというのに、意外に来場者は多い。琅玕洞の流水紋をあしらった門が開かれて、それと同時に列をなしてプロムナードから、かつては霽景楼」と呼ばれた築約百年の本館へ。
紅や黄に燃える園庭を眺めるだけでも異世界へ来たような印象を受ける。紅葉は後の楽しみにとっておいて、エントランスで受付を済ませて、館内へ。
本館の各部屋は主に常設展示で、お目当のモネは別館、
安藤忠雄設計による「地中の宝石箱」と「夢の箱」に展示されている。「宝石箱」には同館が誇る『睡蓮』連作と『アイリス』、いずれも晩年を飾る大作。「夢の箱」にはそれ以前に描かれた風景画が数点。

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 宝積寺の三重塔をチラ見
 
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スイレンの池は期間限定でモミジの池


息を切らせて絵画鑑賞でもあるまいと、モネの作品に対峙する前に、本館からお庭を眺めてココロを落ち着かせる。夏の頃スイレンが浮かんだ池には散り落ちた紅いモミジが無数に揺蕩って、その色が水面に映える。イギリス・チューダー様式の本館、そのポーチや二階バルコニーから見下ろすお庭や池も美しいが、お庭の樹々と建物の対比も絵になる風景。地中館地中の宝石箱」や山手館夢の箱」に続く回廊の白壁と紅葉のコントラストも艶やかで、紅葉の先に見える三重塔や庭園の向こうに見える望楼「栖霞楼」(非公開)も絵画的。

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テームズ川のチャリング・クロス橋
 
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サンジェルマンの森の中で


まずは、「夢の箱」こと「山手館」へ。作品数は多くないが、年代に因る作風の違いは感じられる。円熟期に至る前の、まだ画風を模索しているような、作品ごとに微妙に筆致も異なる作品たち。先月訪れた時とはわずかに展示も異なるので、こちらもなるたけ新鮮な気持ちで受け止めてみる。
1872年に描かれた『
貨物列車』、1883年作の『エトルタの朝』、他にも『積みわら』や『菫の花束を持つカミーユ・モネ』。1903年に描かれた『テームズ川のチャリング・クロス橋』や1882年の作品『サンジェルマンの森の中で』の色合いの妙にココロ惹かれる。モネが何度も画題にしたお気に入りの風景。それらをじっと視詰める。近寄ってみたり、退いてみたり、具に観てみる。装飾的なフレームに囲われた、幻影めいた絵の中には、微細な光とともに、音楽も含まれているように感じられるが、それはドビュッシーではなく、もっと、いわゆるアンビエント・ミュージックにも似た、抑揚を抑えた曖昧なニュアンス。
一番魅力を感じた『サンジェルマンの森の中で』。イル・ド・フランス地域圏イヴリーヌ県サン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)。パリやセーヌ川を見下ろす高台のその森の中。径を覆うほどに茂った樹々、その径を埋め尽くすほどの落ち葉。鬱蒼と暗くなるはずの森には何故か光が満ちている。森の奥を目指しているというより、森の中からその外れを眺めているのか、遥か向こうは森陰ではなく、眩ゆい光が待っている。この作品を観ていると、どうしてか希望が感じられる。森を抜けたその先に待つもの。何時間でも眺めていられそうな気がする。
因みに、同地はクロード・ドビュッシーの生地。だから、森の風景さえ音楽的なのかしらンと思えてしまう。生地というより、聖地ですな。

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地中の宝石箱」こと「地中館」には晩年の連作、大きな画面の『睡蓮』と『アイリス』。ノルマンディー地域圏ウール県ジヴェルニー(Giverny)の自宅の庭に設えたスイレンの池をモチーフに、1899年から1926年に亡くなるまでの間に全部で200点以上制作されたという、同じ場所に在る同じ植物。それ自体が"最高傑作"と自負した庭の風景。一見すると、かなり乱暴にも感じられる筆使いで、ヒトによっては上手いのと訝るかもしれない。モネが描いたLes Nymphéasだと分かっているから有り難がるが、描かれた当時から好評を得たというその風評だけで素晴らしいと思い込んではいないか。
新しく作られた画材を使って、日常のありふれた風景を切り取った画題。清澄な配色、斬新で巧みな構図、これぞ印象派と言わせる技法、筆触分割。過去のアカデミックな作風からの変化も含めて、写実性を排除した、その完成形としての『睡蓮』。そこに至った経緯までをも内包する作品。
音楽にしろ、絵画にしろ、それを観賞する時には、他の情報一切を遮断して、自分の中の知識さえ一旦リセット、その音、その絵だけに注力する。新たに湧き上がってくる"印象"だけを感じ取る。"聴く"、"観る"ということは、その対象物をスケールとして、自分の心象を計測すること・・・だと考える。過去の評判や口コミはどーでもいい。今の自分がどう感じるかが、音楽や絵画、芸術と呼ばれるものへの要求。
これらの作品から聴こえるのはとてもモダンな音楽。ピアノやヴァイオリンの生音ではなく、それを精細なレートでデジタル・サンプリングして奏でられる、クラシカルでミニマルな、小編成のアンサンブル・・・というよりマルチ・トラック。荒い筆跡から、デジタル・シンセサイザーっぽい"印象"を受けたのだが・・・。やっぱり、ジヴェルニーのお庭より、中期の、サンジェルマンの風景の方が惹かれる・・・かなァ。

今回も、もう一度夢の箱」に戻って、それら中期作品をココロに止める。

絵画の後はお庭を散策して、紅葉観賞。ここの美術館は、実業家加賀正太郎が建物、庭園、道路などを自ら設計した山荘が元になっている。その広大な庭園を巡るだけで季節感、色彩感を得ることが出来る、敷地全部が芸術作品。内部が非公開となっている家屋も幾つかあるが、そのほとんどが国登録文化財。

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橡の木茶屋(非公開)」横に設えられた蹲にも誂えたようにモミジが散りばめられて、un beau jardinへのエントランスとなる。下生えに散り落ちた落ち葉、バリー・フラナガン作『ボールをつかむ鉤爪の上の野兎』とモミジの共演が、この上なくアーティスティーク。

さて十分に美術館での絵画観賞、紅葉観賞は堪能出来た。二度の訪問で、ドビュッシーが拒んだものの片鱗を見極められた気がする。今日は時間もあるので、この後BD-1Rで山頂を目指そうとしたのだが・・・(後半に続く)。


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コメント 2

yosshu0715

おお!!(笑)
公約通りの再訪ですね!!(笑)

僕は同じ時代を生きた同じく印象派のメアリーカサット展に行きたかったんですが、結局行けず!!(笑)
モネを2度もご覧になるとは羨ましいです!!(笑)

しかし本当に素敵なお庭ですね!!(笑)
問題はその手前の激坂・・・!!(笑)
警察病院手前の坂でも息切れする僕にはとても無理そう・・・!!(笑)

by yosshu0715 (2016-12-07 22:15) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
どうしてももう一度モネを観たかったのと、お庭の紅葉を見たかったのとで、平日に無理して出掛けてしまいました。
前回は自宅から全自走で、平気で坂を登れたのですが、今回が輪行にも関わらずバテてしまいました。頂上までは自転車では行けないようですし、中腹の美術館が色んな意味で限界です(笑)。
お庭はとても素敵です。紅葉もいいですが、春の桜、夏のスイレン、冬は・・・?! 冬は寒くて近づけない??
by JUN1026 (2016-12-07 22:38) 

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