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映画化 !? [日記・雑感]

左耳が壊れました。お医者様のお見立ては「突発性難聴」で、実はこれ、7〜8年前に右耳で経験済み。
病名の通り、突発的に起きる原因不明の難聴で、ストレスが原因であるとか、ウイルスによるものであるとか言われているものの、主たる原因はまだ特定されていないらしい。
ストレスなら、奥様のお小言・・・といいたいところですが、そういうと日頃の行いが悪いからだと返される。
ウイルスなら、右から左に8年も掛かったのが納得出来ないし、何処で誰からうつされた・・・ということになる。

 

まァ、マジメな話し、職務(とお小言?)を含んだ日々のストレスが原因なのではないかと思う。
さすがに、右耳の時は初めてのことで、しかも通院した耳鼻科で、いきなり「入院できますか?」と尋ねられたり、ストレッチャに寝かされて点滴や注射されたり、いったいどうなっているのかと驚くやら不安になるやら、このまま聴力も戻らなかったら・・・、と絶望的な気分になったりもした。

そして、それさえ忘れかけたこの春に左耳が壊れた。

右耳の時は状況が理解出来ず、激しい目眩と耳鳴りがして、聴力さえも失っても、時間が作れず一週間放置してから通院。一週間以上経ってしまうと回復が難しくなって、二週間以上経過するとほぼ回復が望め無いないらしい。ワタシの場合、一週間後に通院してその約二ヶ月後に聴力が戻った。

今回は、目眩と耳鳴り、聴こえなくなった翌朝には通院。なんなら、注射と点滴でその日のうちに回復するのではないかと思ったそうもいかず、それでもクスリがよくなったとかで、注射も点滴も打たれることもなく、自宅で服薬(9種類もあったのだけど)するだけの治療で約二週間で左耳が聴こえるようにはなった。聴力が完全回復・・・とまではいかないようだが、ともかく難聴は克服された。

まァ、右耳の時は回復に二ヶ月も要したこともあって、「聞こえない、聴こえない」と慌てもしたし、騒ぎもして、周りの関係者にも「耳が若干不自由です」と断りをいれたが、今回はすぐに回復するだろうとの思惑もあったし、それほど騒ぎもせず、(ブログのネタにはしたけど)周囲にもナイショにしていた。

だってねェ、前回より年齢を重ねて、眼も遠くなって近焦点用レンズがないと書類や新聞はおろかMacBookやPCのディスプレイも読めない、見えない。Apple WatchもiPhoneもピントを合わせるためには腕を伸ばしたり畳んだり・・・。椎間板ヘルニアからの座骨神経痛で足腰も痛んでいる。この状況で耳が悪いと言ったら、たんに加齢による衰えで耳が遠くなったと思われそうで、いよいよお年寄り扱いされてしまう。

かてて加えて、昨年世間を騒がせた「ゴーストライター騒動」である。
中途失聴とされる聴覚障害がありながら感動的な(?)楽曲を作成した自称作曲家が、実はゴーストライターを雇って、その作品を代作させていた・・・云々。
彼らになんの興味も関心もないし、その楽曲にもココロを動かされることはない。その騒動自体はどうでもいい。どうでもいいのだけれど、彼の胡散臭さ、怪しさに引けを取らないワタシの外見。外出時はほぼずっとサングラス(調光レンズ)だし、殆ど黒づくめだし、マッシュルームなワンレングスボブだし・・・。それで「耳が聴こえない」などと言ったら、同情されるより、不審がられるに違いない。
まァ、ワタシのことはおいといて、腹立たしいのが、恐れ多くも勿体無くも「現代のベートーベン」などと囃し立てられたこと。これは、本人が吹聴していたのではないから、悪ノリしたマスコミに責任があるのかも。

そんな「ゴーストライター騒動」が映画化されるのだという。それ自体観たいとは思わないが、恐れ多くも勿体無くも「現代のベートーベン」と蒸し返さないで頂きたい。「べえとおべん」でも許せない!!
曲調、作風は全然異なるのだし、耳が不自由だった作曲家は意外に多く存在する。よりにもよって、恐れ多くも勿体無くも楽聖さまのお名前を引き合いに出すことはないと思う。

♢♢♢♢♢ 

さて、その楽聖ことルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770年12月16日頃 - 1827年3月26日)。20歳代後半から持病の難聴が徐々に悪化し、28歳の頃には最高度難聴者となったと言われている。その絶望感から、1802年には『ハイリゲンシュタットの遺書』を認め、自らを滅することも考えたとされるが、その苦悩を振り払い、その後ロマン・ロランをして『傑作の森』と言わしめた、まさに"神品"的名曲の数々を創り上げたことは改めて語るまでもない。
40歳前後には全聾となったそうなのだけど、弟子が演奏するピアノを聴いて「そこはおかしい!!」とツッコミを入れたり、フランツ・リストの演奏会に赴いてその演奏を"聴いた"とも伝えられている。
歯とピアノの鍵盤をスティックで繋ぐことで、ピアノの音を聴いていたとか言われている。
あの『第九』こと「交響曲 第9番」を作曲するために、ピアノの脚を全部切り取ってしまい、ボディを床に直置きして、フロア全体を共鳴板にして、そこに寝そべって弾いていたとかなんとか。これは昨年の「大阪クラシック」の『第61公演 ピアノ・スペクタキュラー』でマエストロ大植英次が迫真の演技で(?)再現されておられた。
床板を共鳴板にしてカラダ全体で音を感じる・・・スゴイとは思うが、なんと近所迷惑な!!
電子楽器やMacBook、iPadを使う現代のワタシたちが真似をしようと思ったら、スピーカーを床板に埋め込まないといけないわけで、そんなことをしたら集合住宅の階下や隣家から連日クレーム、住んでられへんやん!!

楽聖さまは変わり者、それも相当の変人であったらしいが、難聴であっても完全に失聴していたかどうかはちょっと疑わしいらしい。じつは秘密諜報員であって、機密漏えいを避けるために筆談していたのではないかという説まであるそうな。ホンマかいな?!
まァ、常人と異なるのは確かなわけで、作曲家にして、ヴィルトゥオーゾ・・・ピアノ即興演奏の名手であったとされるから、スコア(譜面)をご覧になっただけでそのオーケストレーションが頭の中で再生されたであろうし、逆に、頭の中で鳴り響いたオンガクを、楽器で確認することなく、直接スコアに書き起こすくらいお茶の子さいさい・・・だったのではないかしらン!?
フランツ・リストの演奏会に出向いた時も、スコアを覗き込んで「ふ〜ん(そうかいな)」と仰ったのか、鍵盤の上で踊るフランツくんの指先をガン見して「ほほォ(やりよるな)」と唸ったのか。ヴィジュアルからサウンドに変換するのは(その逆も)それほど困難なことではないような気がする。
ワタシでさえ、先日拝見、拝聴したヴァイオリン・ソナタのコンサートで、予めそのスコアをアタマに叩き込んでおいて、ステージ上のピアニストとヴァイオリニストの華麗な指先を注視していたら、音が視えたように思えたもの。ただし、ヴァイオリンのビブラートがちょっとオーバー目になったような気がするが・・・。
楽聖さまクラスになると、デュオはおろかフルオーケストラ相手にそういう芸当が出来るのだと思う、多分。
にしても、若きフランツ・リストの背後から、その指先をガン見するイカツイ顔のベートーヴェン・・・ちょっとホラーな気がする(汗)。

♢♢♢♢♢

彼は苦悩していた。
曲が書けない。いや、正確にいうと書けないのではなく、それがどうしてもどこかで聴いたことのある曲調になってしまうのが、我ながら納得出来ずにいた。
彼らとは違うものを創りたいのだ。
この日もピアノの前に腰掛けはしたものの、指一本動かせずにいた。
どれだけの時をそうして過ごしていたのか。夕暮れが忍び寄ってくる。すでに部屋の半分以上が仄暗い闇で満たされていた。
そろそろ灯りを点けねば・・・。立ち上がろうとした時、その闇の中にひとりの女の気配を認めた。
大家の娘が家賃の取り立てにでも来たのかとも思ったがそうではない。今までに感じたことのない女の気配。
誰だ。何処から来た。闇の中にうっすら浮かぶ白いドレスに向かって声を掛ける。
「私は貴方の"永遠の恋人"。ハイリゲンシュタットから参りましたの」
闇から抜け出した白い影は窓辺へと進み、その姿を露わにした。見たことのない、これまで知る女たちとは異質の、神々しいほどに美しい女。
「永遠の恋人? ハイリゲンシュタット?」
彼は立ち上がって、その女に近づこうとしたが、何故か足が動かない。
「私は貴方の才能を開花させる術を持っています。貴方には才能がないわけではありません。貴方は、演奏家として、聴くことに拘りすぎていらっしゃるの。先生方の演奏を聴いて、ご自身の奏でる音を聴いて。
貴方はご自分の脳裏に浮かんだ音楽をそのまま書きとればよろしいの。そうすれば、百年先、二百年先まで名を残す偉大な作曲家になれましてよ」
女の頬に不敵な笑みが浮かぶ。冷たくもの悲しげな微笑み。
「百年先、二百年先まで名を残す偉大な作曲家・・・。このオレが!?」
今現実のことに追われて、そんな先のことまで考える暇さえない。顔を伏せて髪を掻き毟る。
顔を上げた時には、その女の気配は消えていた。
夢か。幻覚か。私に逢いたくなったらハイリゲンシュタットまでお越しなさいと言った女の冷たい指先が頬に触れた気さえするというのに。
女の気配が消えた部屋は一層静かに感じられた。開け放たれたままの窓からはしじまの気振りさえ届かない。思い出したように立ち上がって、灯りを点す。窓を閉ざす。その一連の動きの中で、自身の足音さえ聞こえない。
疲れているのか。それとも、あの女が現れてからの一切が夢であるとでもいうのか。
試みにピアノの鍵盤を叩いてみる。どんなに強く叩いてみてもその楽音は彼の耳には届かない。
ついにオレは呪われたのだ。
愕然とする彼に近づく影があった。夕餉の盆を提げた大家がそこに立っていた。
「ルードヴィヒさん、日が暮れたらピアノは遠慮してくださいね。大きな音は、近所の方が迷惑されますから」

食事も摂らず、彼はハイリゲンシュタットにいる知り合いに宛てて、すぐにそちらに向かうゆえ部屋を用意されたいと簡単な手紙を書いた。
少ない友人に宛てて、しばらく療養に出向く旨を認め、それらを大家に託けるとすぐに旅の支度にかかった。
夜が明けるまで、旧びた鍵盤をまんじりと見つめて過ごした。
確かにオレは、先生たちにとって、いい生徒ではなかったかもしれない。聴衆に対してもいい演奏家ではなかったが、オレは俺なりに精進もしたし、研鑽を重ねたつもりだ。神を讃えることはしていないが、だからといって、それを蔑んだ覚えもない。何故オレが呪われなければならないのだ。
自問の声すら聞こえなかった。
朝を待ちかねるように、路傍に出て馬車を拾った。
プロプスガッセで馬車を降りた時には日が高く上っていた。温泉が枯れつつあるとかで湯治客も疎らで、閑静な避暑の街は寂れているように思えた。ましてや音を感じることを出来ない彼には寂しい街としか捉えられなかった。
挨拶もそこそこに知人宅で旅装を解くと、すぐに街路に踏み出した。
あの女を見つけ出さねば。才能を開花させる見返りに、オレの大事なものをひとつ貰っていくと言ったあのオンナ。
ドナウ川に沿った小道から路地を辿り、小さな森に至ってもあの女の影はおろか、消息さえ拾えない。誰に尋ねても、そんな女はこの近辺にはいないと言う。
彼は苦悩した。今まで覚えた懊悩とは別の絶望的な苦悩。
温泉で身体を癒しなさいという知人の言葉も跳ね除け、ここ数日見つかるはずもない女の影を追っているルードヴィヒを小さな街の住人は奇異なものを見るような眼で眺め、友人さえ彼を訝しんだ。
歩き疲れ、探し疲れて、これから先の方策さえ見失ったように思えた。
借りた部屋に戻った彼は、女が頭の中に響く音を書き留めなさいと言ったことを思い出し、紙とペンを用意した。部屋に楽器の類いは持ち込んではいない。
脳裏に浮かんだ音楽・・・、いくら没頭しようとも一音すら湧き上がってこない。
ルードヴィヒは一晩かけて長い遺書を記した。

このうえは永らえようとは思えない。自らを滅するにはどうすればいいのか。
ドナウの流れに身を投じるか。森の奥深く、太い枝に綱を掛けて縊死するか。刃物を用いるか、それとも毒を呷るか。
出来れば人に見付けられたくない。女の姿を求めて彷徨った時でさえ森の奥までは進まなかった。
遺言状を書き終えたら、幾分か心が晴れたように気がしたが、だからといって彼の耳に音が戻ることはなかった。
翌朝早く、街外れの小さな森へと出掛けた。
静かだ。なんの音さえもしない。風が戦ぎ、木々の枝が揺れ、足元には僅かなせせらぎさえあるというのに水音さえ聞こえない。鳥が飛び交う。自身が踏みしめる落ち葉さえ音となって耳には届かない。
どれほど歩いたろうか。少し開けた草原に出た。その先に小さな祠のようなものを見つけた。誰にも忘れ去られたような古い旧い廟堂。彼は思わずその前に額づいた。
オレの音を返してくれ。それが出来ないまでも、せめて今一度あの女に遭わせてくれ。あの女が魔女だろうと女神であろうと構わない。オレの才能を開花させてやるといったその真意を確かめたい。
膝まづいて、平伏しても、なにも変わりはしない。
ついに神頼みかと、祈り終えて、ルードヴィヒは独りごちる。
草の上に仰向けに寝転んで、オレの最期に相応しい音楽とはどんなものだろうと考えてみる。壮大なシンフォニーか華麗なコンチェルトか、レクイエムでは詰まらない。静かな弦楽四重奏あたりか。
オレはオレの最期を飾るピアノを弾いてやりたいが・・・。
さて、聴こえぬ耳で演奏など叶うのかと独笑する。彼自身には聞こえないその笑い声が森に響く。
その声が何処ともなく消えていくのと代わって、風の戦ぎが聞こえたような気がする。耳をすます。木々の枝々が風に揺れて、葉音が規則正しい律動を奏でているのが聞こえる。かすかに響くせせらぎが通奏低音に聴こえる。時折飛び交う鳥の羽音、その鳴き声はオブリガートか。いくつもの音が重なって、それが音楽の態をなしていく。
オレはついに気が触れたか。気が狂っても構わない。今はオレのために音楽を掻鳴らせ。もっと高鳴れ。もっと唄え。
ルードヴィヒは立ち上がって、指揮するように腕を振る。
風の声と波音は重厚な弦の響きに変わる。葉音と集った鳥の声は管楽器群と変容する。森の音群は洗練された音楽となってルードヴィヒの胸を打つ。
これまでに聴いたことのないようなオンガク。
その音が歓喜の絶頂に達し、静かに退いていく。今一度高鳴れ。彼を腕を振り上げる。背後から端然とした唄声が聞こえる。
振り返ると、小さな祠の前に"永遠の恋人"と名乗った女が立っていた。秀麗な容姿に相応しい透き通るような声で高らかに歌っている。
それが幻影でも幻聴でも構わない。オレのために唄え、高らかに。
風の音、葉音、鳥の声。本来であれば、雑然と聞こえるべきものがひとつの調べとなるのであれば、オレの興奮、オレの驚愕、恐れや恨みでさえ旋律に変えることが出来るのではないか。オレの感情をメロディーに、オレの鼓動をリズムにすることが叶うのではないか。オレの熱情がハーモニーを伴って音楽となるのではないか。
ルードヴィヒが静かに腕を振り下ろす。演者の見えない全ての音は予定調和から終止形となって森の中へと消えていく。
恋人がルードヴィヒに歩み寄る。
「ここはもう貴方がいるべき場所ではありません。貴方は貴方がいるべきところにお帰りなさい」
「貴女は・・・?」
「私はずっと貴方のそばにいます」
互いに差し出した指先に歓喜の光が差した(了)。

時間がなかったのでアラスジになってしまったが、そのうちもしかしたらキチンと小説体にするので、こーいうのを映画化してくれないかなァ。その際は、"永遠の恋人"役はアン・ハサウェイでお願いします(笑)。


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moto_tip_sp

相当体が悪そうですね。お大事にしてくださいね。

私は音楽は癒しのために聞いていますので、学術的な中身はわかりませんが、このブログで勉強になります。

大阪クラシックの開催も決まったようですし、それまでには体調が戻るように祈ってます。

作jojoさんで映画化されたら、見に行きますよ(^^)
by moto_tip_sp (2015-06-06 08:59) 

JUN1026

モトさん、コメントありがとうございます。
梅雨時で湿度が高いせいでしょうか、ちょっと体調が思わしくありません。歳をとるとこうもアチコチ悪くなるかと、情けないやら悲しいやら。
しかし、身体が動かない分、アタマは冴え渡っている(?)ようで、学術的かどうかはわかりませんが、創作活動は意外に捗っています。
「大阪クラシック」もいよいよ10回目。まず開催が決まったことを喜びましょう。とりあえずチケット確保が先決ですね。
映画化の前に小説化して、各賞ゲットを目指しましょうか(笑)。
by JUN1026 (2015-06-06 23:06) 

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